社会保険労務士業界の課題①:関与率の低さ

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社会保険労務士業界の課題①:関与率の低さ

社会保険労務士は人事・労務管理の専門家であり、その主なクライアントは企業ということになります。同じく主に企業を相手に仕事をする士業として、税理士という資格があります。

「ヒト・モノ・カネ」という経営の三要素のうち、社会保険労務士は「ヒト」の専門家であり、税理士は「カネ」の専門家という違いがまずはありますが、その他にも、この2つの資格を比べたときにひとつ決定的な違いがあります。それは「関与率」です。

社会保険労務士業界の課題①:関与率の低さ
関与率というのは、すべての企業に占める、士業者が関与している企業の割合のことで、税税理士の関与率は実に9割とも言われています。
それに対して社会保険労務士の関与率は、公式の統計データがあるわけではありませんが、業界的には3割程度と言われています。すなわち約7割の企業は、自社の人事・労務管理に関して、その道の専門家であるはずの社会保険労務士の力を借りていないということです。

労働や年金の問題が社会問題化している昨今にあっては、社会保険労務士に対するニーズは確実に高まってきているわけですが、そうしたニーズに対して未だ、社会保険労務士が十分に応えきれていない現状が、さきの関与率の低さからも窺えます。

ただし「関与率3割」というデータは決して悲観すべきものではありません。現状においては3割の企業にしか受け入れられていないわけですが、裏を返せば、7割の企業には今後受け入れてもらえる可能性がある。すなわち、顧客のパイがまだまだ潤沢に残されているということです。

そうした潜在的な顧客を今後どのようにして掘り起こし獲得していくかが課題となってきますので、これからの社会保険労務士は単に人事・労務管理の専門家であるだけでなく、優れたマーケッターであり営業マンであることが求められると言っても良いでしょう。



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